歯の痛みに波があるのはなぜ?時間帯ごとに繰り返す歯の痛みの原因

  • 朝起きたときだけ歯が痛む
  • 夜になると歯が痛む
  • 食事を終えたタイミングで歯が痛む

上記のように、歯が「痛い時」と「痛くない時」で波があり、気のせいかな?と放置してしまっている方も多いのではないでしょうか。

桜台駅前歯科クリニック 院長

波のある歯の痛みを放置してしまう方も多いですが、深刻な状態であるにもかかわらず放置してしまうのはとても危険です。当記事では、波がある歯の痛みの原因と対処法を詳しく解説していきます。

朝起きた時だけ歯が痛む原因

まずは、朝起きた時だけ歯が痛む原因にはどのようなことが考えられるのか、ご説明します。

1.寝ている時に歯ぎしり・食いしばり癖がある

睡眠中に無意識に行ってしまう歯ぎしりや食いしばりによって、朝起きてすぐに歯の痛みを感じることがあります。

多くの場合、ストレスや噛み合わせの問題がこれらの行動を引き起こし、歯や顎の筋肉に繰り返し負担をかけてしまいます。こうした状態が続くと、歯の神経に対する圧力が変動し、痛みがズキズキと波のように現れるのです。

特に、ストレスが溜まりやすい現代社会では、無意識のクセや行動が波のある歯痛の原因となっている可能性が高いと言えるでしょう。

すぐに改善するのは難しいかもしれませんが、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりを軽減するためには、ストレスを極力溜めないようにし、生活習慣を見直すことが大切です。

2.睡眠時の体勢が悪いから

横向きやうつ伏せの姿勢で寝る際に、歯や顎をベッドや枕に強く押し付けることが原因で痛みが生じることがあります。このような姿勢は、顎の筋肉に不必要な圧力をかけ、歯への過度なストレスを引き起こします。

そのため、朝起きて歯の痛みを感じるときにはまず、睡眠時の体勢を見直し、顎や歯に圧力がかからないような姿勢を取ることを意識しましょう。

寝るときは出来るだけ、背中をまっすぐにして仰向けに寝ることで、顎や歯への圧力を減らすことができます。また、適切な高さの枕を使用することで、首や顎の位置を自然な状態に保ち、歯への圧力を軽減することが可能です。

3.副鼻腔炎によって歯に痛みが出ている

副鼻腔炎は、波がある歯の痛みを起こす原因の一つです。副鼻腔炎の影響で上顎洞の炎症を起こすことにより、上の歯、特に奥歯に痛みを引き起こします。

この痛みが発生する理由としては、副鼻腔内の圧力が増加して歯の神経に影響を与えるためです。

副鼻腔炎による痛みの特徴的な点としては、複数の歯に渡って痛みを感じることが挙げられます。また、副鼻腔炎による歯の痛みは通常の歯痛とは異なり、顔の圧迫感や頭痛を伴うことも。

もし、副鼻腔炎による歯の痛みを経験した場合は歯科医師だけでなく、耳鼻咽喉科の専門医の診察も受けることが重要です。副鼻腔炎による歯の痛みは、適切な治療によって改善されることが多いため早めに対処をしていきましょう。

夜間だけ歯の痛みを感じる原因

歯科医の診察時間が過ぎてしまった夜間に発生する歯の痛みは、痛みと共に不安も大きくつのるものです。ここからは、夜間に発生する歯の痛みについて解説します。

1.頭部への血流が増えるから

体勢が横になることで頭部への血流が増加し、その血流が歯の神経に圧力をかけ、痛みを引き起こすことがあります。痛みが持続する場合や他の症状がある場合は、歯科医師に相談しましょう。

2.リラックスすることで副交感神経が優位になるから

就寝時間が近くなると体は自然とリラックス状態に入ります。リラックス状態に入った体は副交感神経が優位になり、体のさまざまな部分で血管が拡張します。

血管が拡張すると、歯の周りの血流を増加させ歯の神経に圧力をかけることがあります。結果として、夜間に歯の痛みを感じることがあるのです。

食後だけ歯の痛みが起こる原因

ここからは、食後に痛みが発生しやすい理由を見ていきましょう。

1.知覚過敏

知覚過敏の方は、露出した象牙質が甘いものや冷たいものに触れたときに痛みを引き起こすことがあります。

虫歯との区別が難しいため、自己判断せずに早めに歯科医の検診を受けることが大切です。

2.虫歯菌の活性化による痛み

食事を摂ると、口内に残った食べかすが虫歯菌の栄養源となり活発に活動を始めます。活発になった虫歯菌は食後約30分で酸を作り始め、酸が歯を徐々に溶かしていきます。

この過程で歯の神経が刺激され、食後に波のような痛みが生じることがあります。

このような痛みを防ぐためには、食事をしたら早めに歯を磨くことが効果的です。丁寧なケアを心掛ければ、虫歯菌が活性化する前に食べかすを除去して酸の生成を抑制することができます。

その他、ズキズキと波がある歯の痛みが起こる歯科的な原因について

時間帯によって発生する波のある歯の痛みの裏側には、以下のような歯科的問題が潜んでいることが多いです。

虫歯

進行した虫歯は歯の神経に近づき、炎症や感染を引き起こします。これにより、ズキズキする痛みが発生し、食事や冷たいものを摂取した際に痛みが悪化します。

歯髄炎(しずいえん)

歯髄炎とは、歯の内部にある神経と血管が含まれる部分(歯髄)が炎症を起こしている状態のことです。歯髄炎の痛みは波のように増減することがあり、特に夜間やリラックス時に強くなります。

歯根膜炎

歯根膜炎は歯を支える歯根の周りの膜(歯根膜)が炎症を起こしてしまう状態です。歯に過度な圧力がかかったり、感染が広がったりすることで発生し、噛むときや歯を触ったときに痛みを感じることが特徴です。

知覚過敏

知覚過敏は、冷たいものを飲んだり食べたりした時に「キーン」とした刺激的な痛みがあることが特徴です。これは、歯の表面が摩耗や損傷によって敏感になり、刺激に対して過敏な反応を示すことで起こります。

噛み合わせの問題

噛み合わせに問題がある場合、食事中や噛む動作をする際に、特定の歯に過度なストレスが集中し、痛みが発生します。

この痛みは、噛む動作を繰り返すことで一時的に強くなり、食事を終えると徐々に軽減するといったように波があることが一般的です。

  • 虫歯
  • 歯髄炎(しずいえん)
  • 歯根膜炎
  • 知覚過敏
  • 噛み合わせの問題
桜台駅前歯科クリニック 院長

上記、5つの要因をご説明しましたが、これらは放置すると深刻な影響を及ぼす可能性があります。もしもご自身に思い当たる症状がある際には、一過性のものだと軽視せずになるべく早く歯科医へ相談することが重要です。

波のような歯の痛みが出た時に試したい応急処置の方法

それでは、歯の痛みが我慢できない程になってしまった際に、すぐにできる応急処置の方法をご説明します。

※ただし、この方法はあくまで一時的な応急処置で根本的な治療としての効果はありません。必ず、歯科医院での適切な診断と治療を受けることが重要です。

1.痛みが強いところを冷やす

耐え難い歯の痛みが発生した際の応急処置として、痛みが強い部分を冷やす方法が効果的です。患部を冷やすことで痛みが和らぐ理由としては、下記が挙げられます。

  • 炎症の抑制
    痛みの原因となる炎症や腫れを抑えることができます。
  • 血行の阻害
    冷やすことにより患部への血流を抑制し、痛みを和らげます。
  • 神経の鎮静
    神経の活動を鎮静化し、痛みを軽減します。

患部を冷やす際には、直接冷やすと患部への刺激になるため、濡らしたタオルや解熱シートを使って頬側から冷やすと良いです。

2.市販の痛み止めを服用する

「歯科医院に行くまでの間、歯の痛みが我慢できない‥」という時には、市販の痛み止めが効果的です。

市販の痛み止めの薬は、痛みの原因となる物質の生成を抑制する作用があり、痛みの信号が脳に伝わるのを減少させます。

例えば、ロキソプロフェンやイブプロフェンなどの成分が、炎症を引き起こす物質の生成を阻害し、痛みを和らげる市販薬として有名です。

※痛み止めを服用する際は、成分や副作用に注意し、指示された用量を守ることが重要です。これにより、痛みの緩和を安全に行うことができます。

3.痛みを和らげるツボを押す

歯の痛みに対するツボ押しは、一時的な痛みの緩和に効果があるとされています。

身体の特定の部位に圧力を加えることで、神経系に影響を与え痛みの伝達を減少させるとともに、血行を促進しリラクゼーションを促すことで痛みや炎症を和らげる効果を目指します。

特に、歯の痛みに効果的とされているツボは以下が挙げられます。

合谷(ごうこく)
手の甲、親指と人差し指の間の付け根に位置します。このツボを強めに押すことで、歯痛を和らげる効果が期待できます。

下関(げかん)
耳の穴から親指の幅で3本分下に位置するツボです。左右交互に押すことで、虫歯や歯周病に効果があるとされています。

波のある歯の痛みでよくある質問

ここからは、痛みが強くなったり弱くなったり、波のように増減する歯の痛みについてよくある質問をまとめました。

歯の痛みと同時に頭痛がするのはなぜ?

歯の痛みと同時に頭痛が発生する現象は、歯と頭部の神経系の密接な関連によるものです。特に、以下の理由でこのような症状が起こります。

①三叉神経の関与
歯の痛みを伝える三叉神経は、頭部全体に張り巡らされています。虫歯や歯周病などで歯の神経が痛みを感じると、この神経を通じて頭痛が生じます。

②炎症の影響
歯の炎症や感染が進行すると、痛みの信号が三叉神経を通じて脳に伝わり、頭痛を引き起こします。

③筋緊張性頭痛
歯の噛み合わせの問題や歯ぎしりなどが原因で、筋肉の緊張が頭痛を引き起こすこともあります。

これらの症状は、歯科的な問題が原因であることが多いため、歯の痛みと頭痛が同時に発生する場合は歯科医院での適切な診断と治療が必要です。

歯科医院で治療をした後なのにズキズキと痛みが続くのはなぜ?

歯科治療後にズキズキと痛みが続く現象は、治療による歯の神経への影響によって起こります。特に、以下の理由でこのような症状が発生することがあります。

①治療による神経の刺激
虫歯を取り除く際の摩擦や圧力によって、歯の神経が刺激され痛みが生じることがあります。特に、深い虫歯の治療では神経に近い部分を扱うため特に痛みが発生しやすいです。

②詰め物や被せ物による圧迫
治療で詰め物や被せ物を施した場合、歯の神経に圧力をかけることがあり痛みが生じます。また、噛み合わせの高さが合わない場合にも痛みを訴える人がいます。

治療後にも痛みが長引く場合や悪化する場合は、歯科医院での再治療が必要になります。

親知らずの周りが腫れて痛みがあるのはなぜ?

親知らずの周りが腫れて痛みがあるのは、主に「智歯周囲炎」と呼ばれる状態が原因です。

親知らずは生えるスペースが不足していることが多く、斜めに生えたり、一部が歯茎に埋まった状態になることがあります。すると、親知らずの周りに隙間ができて、そこに食べかすや細菌が溜まりやすくなってしまうのです。

細菌が蓄積していくと、やがて歯茎の炎症を引き起こし腫れや痛みを生じさせます。炎症が強い時には、食べ物を噛む際や歯ブラシで清掃する際に激しい痛みを感じます。場合によっては、親知らずの抜歯が必要になることもあります。

波のある歯の痛みを解決するために

今回は、波のように増減する歯の痛みについて紹介しました。決まった時間になると発生する痛みは、必ずしも歯科的問題が潜んでいるとは限らず、一過性の症状の場合もあります。

だからと言って、本当は深刻な状態であるにもかかわらず放置してしまうのはとても危険です。一過性の症状もありますが、やはり圧倒的に虫歯や歯周病などの要因であることが多いです。

自分の歯の痛みは何が原因で発生するのかをきちんと知るために、歯科医院での定期的な検診を受けるようにしましょう。