歯周病で手遅れの症状とは?歯を抜かずに残す治療法も解説
口の中に違和感を感じていても、なかなか歯医者に行けないという人もいるのではないでしょうか。
中には歯周病を放置してしまい「もう手遅れ?」とご不安に思われている方もいらっしゃるかと思います。
そこで、今回は歯周病が手遅れなときの症状について、具体的に解説します。
重度の歯周病でも歯を残せるケースもありますので、この点も分かりやすく説明いたします。
手遅れと諦めないで…歯周病の放置がNGな理由
歯周病とは、歯を支える歯と歯茎の周りにある組織「歯周組織」に炎症が起こる疾患です。
歯周病は最終的には「あごの骨を溶かす病気」で、溶けた骨は自然とは治りません。
歯周病を放置すると、歯ぐきの炎症が進行して歯を支える骨まで破壊され、最終的に歯が抜け落ちる恐れがあります。
また、歯周病は口腔内だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼすことが知られています。
歯周病の細菌が血液を介して体内に入り込み、心臓病や糖尿病、呼吸器疾患、妊娠合併症などのリスクを高める可能性があるので、歯の病気と侮ってはいけません。
手遅れと諦めずに、必ず歯科医院での検査・治療を行いましょう。
▼「抜かずに残す」を実践する歯周病治療
歯周病で手遅れの症状とは?
歯周病は初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づいたときには手遅れということも多い病気です。
この章では、歯周病の進行度が進んでしまった歯や歯ぐきの症状を紹介します。
以下の症状に当てはまる人は、異常に気づいた時点で歯医者を受診するようにしましょう。
※手遅れと思われる症状でも、後述する治療方法により再生できる可能性があります。
歯ぐきやあごの骨がボロボロになる
歯周病が歯ぐきに感染すると、深いところまで進行し、やがて歯周組織全体にまで及びます。
虫歯菌とは異なり歯には影響は少ない病気ですが、歯ぐきが溶けたりあごの骨がボロボロになるなど、放置すると元に戻せない状態まで進行することもあるので注意が必要です。
歯ぐきから膿が出る
歯ぐきが歯周病菌に侵されると、腫れや赤みといった炎症とともに免疫も反応します。
この免疫が歯周病菌と戦うことになりますが、免疫細胞が負けると膿として歯ぐきに溜まるようになるのです。
そうすると、歯ぐきがぶよぶよと腫れるようになり、膿が漏れるようになります。
歯がぐらつく・歯が抜ける
食べ物を噛むことで歯が動いて力が入らない、ぐらつくといった症状がある場合も歯周病かもしれません。
特に、歯が上下に動く、噛むと歯が歯ぐきに沈む感覚がある場合は、歯周病がかなり進行している可能性が高いです。
歯が上下に動くということは、歯の下に骨がないため歯ぐきの上に歯が浮いている状態ということです。
そして、さらに歯周病の進行が進むと歯が抜けてしまうこともあります。
口臭がひどい
口臭がひどくなったと感じるのも、歯周病が進行している症状の1つかもしれません。
歯周病菌が歯と歯ぐきのすき間にある「歯周ポケット」に侵入すると、歯周ポケットが深くなります。
この歯周ポケットが深くなると、食べ物のタンパク質を代謝し、臭いの成分であるメチルメルカプタンや硫化水素などを生成します。
そして、結果としてひどい口臭につながるのです。
この状態で放置してしまうと、歯周病の進行により膿や血液が漏れ出し、さらに口臭の悪化につながります。
重度の歯周病における治療方法
一般的には「手遅れ」と言われる症状であっても、歯を抜かずに残せる可能性があります。以下、詳しい治療法をご説明します。
※可能な限り歯を残すことを目標とするものの、やむを得ず抜歯を勧める場合もあります。
抜歯を回避するための「歯周組織再生療法」
歯周病が進行してしまうと最悪抜歯ということになりますが、その前段階に歯を支える骨を再生する治療法が「リグロス」「エムドゲイン」などの歯周組織再生療法です。
歯周病によってあごの骨まで溶けてしまった場合、適切な治療で骨を再生できれば抜歯をせずに済む可能性があります。
リグロス
歯周病によって歯がグラグラしている場合にも効果的で、歯周病の進行を食い止めることができます。
エムドゲイン(自由診療)
世界40ヶ国以上、全世界で100万症例以上に使用されている治療法です。
関連記事:抜歯を回避する歯周病治療
噛むと痛い場合は「噛み合わせ調整」も並行して行う
歯周病の進行を早めることの1つに、噛み合わせが合わないことが原因になっていることもあります。
とくに、噛むと痛いという症状がある場合、強く当たっている部分を調整して嚙み合わせのバランスを整えることで、歯周病の進行を防ぐ効果が期待できます。
最終手段としての「抜歯」
再生療法を行っても回復が難しい場合、最後の手段として抜歯を行います。
歯周病というと、歯ぐきの病気をイメージする人も多いですが、実際はあごの骨が溶けていく病気なのです。
歯は、通常あごの骨に埋まって骨に支えられています。
しかし、支えとなる骨がなくなると、歯が揺れ、最悪の場合「抜歯」という手段になるのです。
もちろん、当院では歯を残す方法を最後まで考えて尽くしますが、歯の状態によっては抜歯せざるを得ないこともあるので、ご理解いただければ幸いです。
関連記事:重度の歯周病でボロボロの歯を治療する方法
歯周病が手遅れになる前に気づける歯のサイン
歯周病が手遅れになると、最悪抜歯という手段を取らなければならなくなってしまいます。
一度抜けた永久歯は二度と生えてこないので、できれば初期段階で気づきたいものです。
そこで、歯周病の段階に応じて起こる症状について、具体的に紹介します。
初期段階
- 歯磨きで出血する
- 歯ぐきがかゆく感じることがある
歯磨きで出血したりかゆく感じる場合は、「初期の歯肉炎」にかかっている可能性があります。
この状態では、定期健診や歯のクリーニングで改善することが多いです。
中期段階
- 歯ぐきが腫れていたり痛むことがある
- 口臭が気になるようになる
- 冷たいものが染みる
中期になると、歯周病の症状がわかりやすくなります。
状態によっては治療を必要とする段階であることもあり、早めに歯医者を受診することをおすすめします。
手遅れの段階の一歩手前
- 歯ぐきがかなり柔らかくなる
- 歯がぐらぐらして抜けそう、もしくは抜けてしまう
- 口臭がひどい
歯周病が手遅れの一歩手前の症状として、歯が抜けてしまうことも少なくありません。
抜歯や入れ歯治療を行うこともあり、治療に時間がかかることもあります。
歯周病が手遅れにならないためには
歯周病が手遅れにならないためには、普段の生活から予防をすることが重要です。
そこで、歯周病ケアに効果的な方法を具体的に2つ紹介します。
セルフケアを徹底する
歯周病のセルフケアは、虫歯予防ともつながる点が多いです。
歯周病のセルフケア
- 歯ぐきまで丁寧に磨く
- 食後はこまめにうがいや歯磨きをする
- フロスや歯間ブラシで歯の間も掃除する
- 噛み合わせや歯並びが気になるようであれば矯正する
食後は、出来る限り時間を開けず、うがいや歯磨きをするようにしましょう。
とくに、歯磨きをするときのポイントは、歯ぐきまで丁寧に行うこと、フロスや歯間ブラシで歯の間のすき間まで磨くことです。
つい歯の表面だけを磨きがちですが、歯ぐきや歯の間にも食べ物のカスが溜まっていることも。
食べ物のカスが残ってしまうと、タンパク質を中心に歯周病菌が進行し、増殖してしまうことにつながります。
また、噛み合わせや歯並びが気になるようであれば、矯正をすることもおすすめです。
歯並びが悪いことで、歯周ポケットが深くなってしまい歯周病の原因となることも少なくありません。
歯周病の原因となる歯並びやブラッシング不足を事前に行っておくことで、歯周病になりにくい歯を作ることができます。
定期健診を受ける
定期的に歯医者で定期健診を受けることで、歯周病はもちろん虫歯や歯の状態を維持することができます。
できれば1ヶ月に1回、難しい場合でも2~3ヶ月のペースで口の中の点検を行いましょう。
定期健診をしておくことで、歯周病を早期発見できたり、虫歯の初期段階である「脱灰(歯のエナメル質からカルシウムが溶けだすこと)」をチェック可能です。
発見が早ければ悪化する前に対処できるので、治療もスムーズに進められます。
歯周病が手遅れと諦める前に…
「抜歯するしかない」と諦めていた方も、一度ご相談いただければ幸いです。
桜台駅前歯科クリニックは、「歯周組織再生療法」という治療で、可能な限り「歯を抜かない・削らない治療」を行っています。
一度抜けた歯は二度と戻らないからこそ、当院では歯を残すための治療にこだわっております。
東京エリアにお住まいで「抜歯をせずに歯周病を治療したい」人は、一度当院にご相談ください。