歯茎下がりは自力で戻る?放置すると危険な理由や原因を解説!

歯茎が下がると「見た目の問題」だけだと思われがちですが、実はお口全体の健康に深く関係しています。

歯茎下がりは自力で戻ることはなく悪化するだけなので、放置するのは危険です。

最も多い原因は歯周病で、歯を支える土台が少しずつ弱くなり、放っておくと歯が揺れたり抜けてしまうこともあります。

桜台駅前歯科クリニック
院長

そこで、今回は歯茎下がりの原因や治療法、治療を放置するリスクについて詳しく解説します。

歯茎の下がりは自力で戻ることはない

歯茎の下がりは自力で戻ることはない

歯茎が下がると、見た目が気になったり、しみるような痛みを感じたりすることがありますが、一度下がってしまった歯茎は自力で元に戻ることはありません

歯茎は皮膚のように再生する組織ではなく、その下にある「歯を支える骨(歯槽骨)」が減っている場合も多いためです。

歯磨きやマッサージで回復させようとする人もいますが、誤ったケアは症状を悪化させることもあります。

痛みや違和感を感じたら、我慢せずに早めに歯科医院で相談するようにしましょう。

歯茎下がりとは歯を支える骨がなくなった状態のこと

歯茎下がりとは、単に歯肉が痩せただけでなく、歯を支える骨(歯槽骨)が減ってしまった状態を指します。

歯周病や強すぎるブラッシング、加齢などが原因で、歯と歯茎の境目に炎症が起き、次第に骨が吸収されていきます。

その結果、歯茎が下がったように見え、歯が長くなったように感じるのです。

さらに、症状が進行すると冷たい物がしみたり、歯がぐらついたりすることもあります。

こうした症状を感じたときは、放置せず早めに歯科医院を受診することが何より重要です。

誰にでも起こりうる変化だからこそ、「もう戻らない」と諦めるのではなく、今できるケアと相談から始めていきましょう。

歯茎が下がる主な3つの原因

歯茎が下がる主な3つの原因

歯茎が下がる原因にはいくつかありますが、多くの場合は毎日の生活習慣の中にその要因があります。

とくに「歯周病」は日本人の多くがかかっているとされ、歯茎の下がりに直結する大きな理由です。

そのほかにも、強すぎるブラッシングや歯ぎしりなどのクセ、加齢やホルモンバランスの変化なども関係します。

ここでは、原因ごとに具体的に解説します。

①歯周病

歯茎が下がる原因の中でも最も多いのが、歯周病です。

歯周病は、歯と歯茎の間にたまったプラーク(歯垢)の中の細菌が歯茎に炎症を起こし、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)まで溶かしてしまう病気です。

この骨が減ることで、歯茎が下がったように見える、または実際に下がっていってしまいます。

初期の段階では痛みが少なく、自覚症状がほとんどないため、知らないうちに進行してしまうのが特徴です。

なかでも、口臭が気になる、歯茎が赤く腫れている、歯磨きのときに血が出るなどのサインがある場合は早めの受診をおすすめします。

②強すぎるブラッシングや歯ぎしりなどの生活習慣

力任せの歯磨きや、就寝中の歯ぎしり・食いしばりといった癖も歯茎の後退を招く要因です。

歯ブラシを強く押し当てすぎると、歯茎に物理的な負担がかかり、徐々に歯肉がすり減っていきます。

さらに、歯ぎしりや食いしばりの習慣があると、歯の根元部分に力が集中し、歯茎が下がる原因となります。

強すぎるブラッシングや歯ぎしりは無意識に行っていることが多いため、気づかないまま症状を悪化させることも少なくありません。

③加齢やホルモンバランスの影響

年齢を重ねると、体全体と同じように歯茎も少しずつ変化します。

加齢により新陳代謝が低下し、歯茎の弾力や厚みが減ることで、自然と下がってみえることがあります。

また、女性の場合は妊娠・出産や更年期などによるホルモンバランスの変化が、歯茎の血流や免疫力に影響を与え、歯茎の炎症や後退を引き起こしやすくなります。

こうした変化は避けられない部分もありますが、日々の口腔ケアを丁寧に行うことで進行を遅らせることが可能です。

バランスの良い食生活やストレス管理も、ホルモンや免疫機能の安定に役立ちます。

痛みや違和感を感じたら、早めに歯科医院へ相談することが安心への第一歩です。

歯茎が下がったときの治療方法

歯茎が下がったときの治療方法

歯茎が下がったときは初期であれば適切なケアによって進行を止められますが、中等度以上の場合には専門的な治療が必要です。

歯茎の状態や下がり具合に合わせて、クリーニングや再生療法など、段階的に治療を行っていきます。

どの方法を選ぶかは、歯科医と相談しながら自分に合うケアを探していくことが大切です。

①歯のクリーニングを受ける

軽度の歯茎下がりであれば、まず歯のクリーニング(スケーリング・ルートプレーニング)を行います。

これは、歯や歯ぐきに付着した歯石・プラークを徹底的に除去する治療です。

歯石は細菌の温床となり、放置すると炎症を悪化させて歯周組織を破壊してしまうため、クリーニングによって炎症を抑え、歯ぐきが健康な状態へと回復しやすくなります。

また、自宅でのブラッシング方法も重要なため、歯科医院で正しい磨き方を教わるとよいでしょう。

②外科的な歯周組織再生治療を行う

中度〜重度の歯茎下がり、特に歯を支える骨が失われたケースでは、外科的な歯周組織再生治療が必要になります。

これらの治療は、失われた歯周組織(歯槽骨や歯根膜など)を再生し、歯茎を健康な状態に戻すことを目指します。

主な治療法には「リグロス法」「エムドゲイン法」「骨移植」「GTR法」があります。

どの方法も専門的な処置であり、歯周病の程度や部位によって適応が異なります。

リグロス法

リグロス法は、失われた歯周組織を「再生の薬」で回復させる治療です。

リグロスという薬剤には、細胞の成長をうながす成分(FGF-2)が含まれており、歯を支える骨や歯ぐきを再び作る働きを助けます。

外科的に歯ぐきを少し開いてリグロスを塗り、自然に新しい組織が増えるのを待つ方法です。

手術と聞くと不安に思う方も多いですが、処置中は麻酔を使うため痛みはほとんど感じません。

治療後も腫れは数日で落ち着くケースが多く、「自分の力で支える歯」を取り戻せる可能性があります。

エムドゲイン法

エムドゲイン法は、自分の歯を支える組織を「自然な力」で再生させることを目的にしています。

エムドゲインというたんぱく質を患部に塗ることで、歯が生えるときと同じ環境を再現し、骨や歯ぐきをもう一度つくり出す仕組みです。

とくに歯周病で骨が一部溶けてしまった場合に有効で、歯ぐきの下を清潔にしたあと、エムドゲインを塗って縫合します。

身体に優しく、副作用が少ないのも特徴です。

術後は少し腫れや違和感が出ることがありますが、数日で回復する方が多いです。

骨移植

歯周病が進行して骨が大きく失われてしまった場合は、「骨移植」で歯を支える骨を再びつくる治療が行われることがあります。

自分の骨や人工の骨を、減ってしまった部分に補うことで、歯が再び安定するように導きます。

骨が十分に再生されると、以前よりぐっと噛みやすく感じられるようになります。

外科的な処置ではありますが、麻酔を使うため痛みはほとんどありません。

再生の途中では一時的に腫れや軽い違和感があることもありますが、数日で落ち着くことが多いです。

GTR法

GTR法(歯周組織再生誘導法)は、失われた骨や歯ぐきを再び作るように誘導する治療です。

特殊な膜を使い、治したい部分を覆うことで、骨や歯ぐきが正しい位置に再生するようサポートします。

膜によって余計な細胞が入り込まず、組織がきれいに再生される仕組みです。

歯周病で「歯が伸びたように見える」「隙間が広がった」と感じる人に向いています。

歯ぐきがしっかり再生すると、見た目も自然に近づき、自信を取り戻せることもあります。

痛みや不安を感じたら、無理せず早めに歯科医院で相談しましょう。

歯茎下がりを治療しないリスク

歯茎下がりを治療しないリスク

歯茎が下がると歯の見た目が気になるだけでなく、さまざまなトラブルを引き起こします。

「見た目だけだから」とそのままにせず、少しでも痛みや違和感を感じたら早めに歯科を受診しましょう。

虫歯や知覚過敏になりやすくなる

歯茎が下がると、通常は歯茎で守られている歯の根の部分がむき出しになり、冷たい水や熱い食べ物にも敏感に反応してしまいます。

とくに歯周病による歯茎下がりは、歯の支えが弱くなっているサインでもあります。

痛みを感じはじめても、「すぐに治まるだろう」と放置してしまう人は少なくありません。

口元が老けた印象になる

歯茎が下がると、歯が実際よりも長く見えたり、歯と歯の間に隙間ができてしまうことがあります。

こうした変化は、笑ったときに口元がやせて見えたり、老けた印象につながることもあります。

毎日の歯みがきでは歯茎を優しくマッサージするように意識し、出血や腫れがあれば早めに受診しましょう。

食べ物が詰まりやすくなる

歯茎が下がると歯と歯の間にすき間ができ、食べかすが詰まりやすくなります。

その状態を放置すると、細菌が繁殖して歯周病をさらに悪化させる原因になります。

とくに歯間の掃除を怠ると、歯ぐきの炎症や口臭の原因にもつながります。

歯茎下がりは一度進むと自然には戻りにくいため、早めに原因に合ったケアを受けることが大切です。

日常的にデンタルフロスや歯間ブラシを使い、しみる痛みや違和感がある場合はすぐ歯科でチェックを受けましょう。

歯茎下がりは基本的に戻らないので気づいたら早めに歯医者を受診しましょう

歯茎下がりは軽度でも自力で戻ることはないので、気づいた時点で早めに歯科医院を受診しましょう。

歯茎下がりは年齢や歯みがきの力加減だけでなく、歯周病が主な原因となることが多い症状で、進行を放置すると虫歯や知覚過敏、口臭、歯並びの変化など、さまざまな問題へとつながります。

とくに歯周病は自覚症状が出にくいため、気づかないうちに悪化することもあります。

大切なのは、違和感を感じたらできるだけ早く歯科を受診し、原因を明確にすることが重要です。

歯茎下がりで悩んでいるなら、桜台駅前歯科クリニックにご相談ください。

歯茎下がりで悩んでいても、抜歯するかもしれないと不安になっている方こそ、桜台駅前歯科クリニックにご相談ください。

桜台駅前歯科クリニックではできる限り歯を抜かずに残すことを第一に考え、患者さまに寄り添った治療を行っています。

実際に、他院で「抜歯しかない」と言われた重度の歯周病が原因でも、最新の技術で歯茎や骨の再生を図る治療も可能です。

痛みの少ない麻酔も可能で、痛みや抜歯が嫌でなかなか歯科医院に行けないという人は、ぜひ一度ご相談ください。